補助金を活用したい人必見!「小規模事業者持続化補助金」の申請を検討すべき理由を経験豊富な中小企業診断士が徹底解説
個人事業主やフリーランスとしてビジネスを営んでいく中で、補助金を活用したいと思われたことがあるでしょう。個人事業主やフリーランスなどスモールビジネスで利用するのであれば断然「小規模事業者持続化補助金」がオススメです。補助金を使うことで競合より事業を有利に進めることができたり、資金繰りの安定化につながる可能性があります。
今回はこれまで数多くの補助金申請をサポートした経験を持つ中小企業診断士が、「小規模事業者持続化補助金」への申請を検討すべき理由を解説します。この記事を読んでいただくことで、「小規模事業者持続化補助金」の概要や申請方法、自社のビジネスで活用する方法を知ることができるでしょう。
小規模事業者持続化補助金とは
補助金とは事業者を対象に支給される「返済不要」の資金のことで、補助金ごとに内容が異なっています。ここでは「小規模事業者持続化補助金」の大まかな内容についてご紹介します。
補助金の目的と概要
「小規模事業者持続化補助金」の目的は、小規模事業者の取り組む販路開拓等の取組の経費の一部を補助し、小規模事業者の持続的発展を支援することです。人口減少による売上高の減少、人件費や材料費の高騰による経費の増加、消費税増税やインボイスなどの法改正に加え、自然災害やコロナ禍などビジネスを取り巻く環境は大きく変化しています。事業者の約87%を占めると言われている小規模事業者がこれらの事態に対応し、事業を継続することで雇用や産業が守られ、地域経済の維持・発展につながるという考えのもと、2014年に創設されました。補助金の受給には小規模事業者自らが作成した持続的な経営に向けた経営計画の提出と、販路開拓等の取組を期限内に完了することが要件となっています。
補助金の効果と魅力
「小規模事業者持続化補助金」では一部特例を除き、補助上限は50万円から200万円、補助率は2/3となっています。取組に要した経費が75万円の場合、50万円の補助金が受け取れるという計算です。本来、利益から少しずつ積み立てて準備する事業資金を補助金で一気に調達できることで、ビジネスを素早く拡大できることが期待できます。
「小規模事業者持続化補助金」は数ある補助金の中でも登竜門的な補助金とされており、申請が簡単な点が魅力です。経営計画書はA4用紙5〜8枚と比較的少なく、手軽に利用することができます。また、対象となる経費の範囲も広く、非常に使い勝手の良い補助金として知られています。
小規模事業者の定義
「小規模事業者持続化補助金」を利用できる事業者は小規模事業者のみとされています。小規模事業者か否かは次の表のとおり、業種ごとに従業員数で判断されます。
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 常時使用する従業員の数5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業除く | 常時使用する従業員の数20人以下 |
製造業その他 | 常時使用する従業員の数20人以下 |
業種の判定は現に行っているまたは今後予定している業態で判断します。なお、従業員数に会社役員や個人事業主本人および同居の親族は含まれません。また、一定の短時間労働者や季節的業務のために雇用されている者も除外することが可能です。
小規模事業者持続化補助金の総論
補助金にはそれぞれ受け取るための条件や手続きがあります。ここでは実際に「小規模事業者持続化補助金」を受け取るために必要なことについて解説します。
対象となる事業者と取組み
「小規模事業者持続化補助金」の対象となる事業者は、日本国内に所在する小規模事業者の法人及び個人です。法人は株式会社や特例有限会社のほか、合名・合資・合同会社に加え、一定の要件を満たした特定非営利活動法人も対象となります。
法人が申請する場合、事業者自身が小規模事業者でも、資本金または出資金が5億円以上の法人に直接又は間接的に株式の100%を保有されている場合は対象となりません。つまり、大企業の子会社は含まれません。ないということです。また、確定している直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の平均額が15億円を超えている場合も対象外です。加えて、過去に「小規模事業者持続化補助金」の採択を受けた事業者についても一定の制約があります。
対象となる取組は事業者自ら策定した経営計画に基づいて実施される販路開拓のための取組です。販路開拓等の取組と併あわせて行われる業務効率化のための取組も対象になります。取組には商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であることも要件となっています。
ポイント
対象外になる場合
- 大企業の直接又は間接の子会社
- 直近過去3年分の課税所得の平均額が15億円超
- 過去に採択を受けたことがある、申請までに様式14を受領された者
- 「小規模事業者持続化補助金<一般型>」の「卒業枠」で採択を受けて、補助事業を実施した事業者
対象となる取組
- 販路開拓等のための取組
- 販路開拓等の取組と併あわせて行われる業務効率化のための取組
申請に必要な書類一覧
「小規模事業者持続化補助金」の申請に必要な書類は次に示すとおりです。
- 小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(様式1)
- 経営計画書兼補助事業計画書①(様式2)
- 補助事業計画書②(様式3)
- 事業支援計画書(様式4)
- 補助金交付申請書(様式5)
- 宣誓・同意書(様式6)
- 貸借対照表および損益計画書(直近1年分)
- 株式名簿
なお、申請書や計画書等のうち、「事業支援計画書(様式4)」以外は申請システムに直接入力となります。貸借対照表・損益計算書や株式名簿に代えて個人事業主の場合は、直近の確定申告書【第一表及び第二表及び収支内訳書(1・2面)】または、第一表及び第二表及び所得税青色申告決算書(1〜4面)(税務署受付印のあるもの)または開業届(税務署受付印のあるもの)を提出します。特定非営利活動法人の場合は、次に示す書類を代わりに提出します。
- 貸借対照表および活動計算書(直近1年分)
- 現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書(申請書の提出日から3か月以内の日付のもの(原本))
- 法人税確定申告書(別表一(受印のある用紙)および別表四(所得の簡易計算))(直近一年分)
これらに加え、申請を希望する枠や利用する特例により、追加的に書類が必要になる場合もあります。
申請までのスケジュール
「小規模事業者持続化補助金」をはじめとした補助金の申請にはある程度の時間と手間を要します。最低でも2週間、できれば1か月以上の準備期間を目安として考えていただくと良いでしょう。
申請書類を作成する前に必ず公募要領の読み込みを行ってください。公募要領は補助金のルールブックのようなもので、申請に必要なことがすべて記載されています。その後、申請書類の作成に移ります。特に、補助金の採否を左右する経営計画書の作成に力を注ぎましょう。
申請書類の準備ができればいよいよ申請作業です。「小規模事業者持続化補助金」では原則、電子申請システムの利用が求められています。なお、申請時に添付する「事業支援計画書(様式4)」は商工会・商工会議所に発行してもらう必要があり、その受付締切は申請期限よりも1週間ほど前に設定されていますので、早めの手配を心がけましょう。
小規模事業者持続化補助金の申請方法と注意点
申請に必要な書類やスケジュールを理解したところで、次は具体的にどうやって申請をしていくのか見ていきましょうするのでしょうか。ここでは「小規模事業者持続化補助金」の申請方法と注意点を説明します。
申請書類の作成と提出
まずは申請書類を作成していきます。事業計画書を除き、決められたテンプレートに沿って記載していくものになります。事業者自身が考えなくて良いという面がある一方、公募要領や各種法令に従って間違いのないよう記載する必要があります。
また、申請書類の中には財務諸表や各種名簿などすでに作成してあるものもあります。これらは改めて作成する必要はありませんが、申請の際には忘れず提出をしてください。提出漏れがあれば、その時点で不採択となってしまう可能性があります。
事業計画書の作成と取組
事業者が作成に最も頭を悩ませるのが事業計画書です。事業計画書には貴社が3〜5年先にどのような未来を描いているのか、そしてそれを実現するためのリソースやマーケットはあるか、近づしていくために補助金を使ってどのようなことに取り組んでいくのかを記載します。この事業計画書によって採否がほぼ決まると言っても過言ではないため、作成には十分な準備と時間をかけてください。
事業計画書に記載が必要な内容は、貴社や業界の現状や顧客のニーズ、市場の展望、それに対応するための取組みとその効果などです。これらを論理的にわかりやすく記載する必要があり、「小規模事業者持続化補助金」の場合、少なくとも5枚以上は記載したいところです。採択後、事業計画書に記載した内容に取り組むことで補助金を受けることができます。なお、事情により取組に着手できなかった場合、補助事業の廃止申請を行い、採択を辞退する必要があります。事前に承認を受ければ取組を変更することも可能ですが、あまりにも当初の事業計画書と乖離した内容への変更は認められません。
事業計画書作成のポイント
- 3~5年先にどのような未来を思い描いているか
- 思い描いた未来を実現するためのリソースやマーケットはあるか
- 思い描いた未来を実現するに近づくために補助金をどのように使っていくか
必要な手続きと注意事項
「小規模事業者持続化補助金」の申請は原則、電子申請システムで行うものとされています。電子申請システムを利用するためには、「GビズIDプライムアカウント」の取得が必須となっていまです。アカウント取得には数週間程度を要しますので、未取得の方は早めの手続きをしておきましょう。この「GビズIDプライムアカウント」は無料で取得することが可能で、「小規模事業者持続化補助金」以外の手続きでも利用することができます。
同一事業者からの申請は同一公募回で1件とされており、たとえば「〇〇商店」の他に「××割烹」も経営しているといった複数の屋号で営業している場合でも同様です。複数申請が判明した場合には、すべての申請が不採択となり、採択後でも遡って採択が取り消されます。また、事業主以外の代理申請についても一切認められず、不採択となる上、以後の公募においても申請が受け付けられない可能性があります。
小規模事業者持続化補助金の過去の公募と採択結果
「小規模事業者持続化補助金」ではどのような取組が採択されやすいのでしょうか。ここでは過去の公募と採択結果についてご紹介します。
<h3>過去の公募スケジュール</h3>
2024年2月現在、でも募集が継続しているのは「小規模事業者持続化補助金<一般型>」です。第15回の公募開始は未定(2024年2月現在)、締切は2024年3月14日(木)で募集されています。過去の公募スケジュールは次表のとおりでした。
公募回 | 公募開始 | 申請受付締切 |
第1回公募 | 2020年3月10日(火) | 2020年3月31日(火) |
第2回公募 | 2020年3月10日(火) | 2020年6月5日(金) |
第3回公募 | 2020年3月10日(火) | 2020年10月2日(金) |
第4回公募 | 2020年3月10日(火) | 2021年2月5日(金) |
第5回公募 | 2020年3月10日(火) | 2021年6月4日(金) |
第6回公募 | 2020年3月10日(火) | 2021年10月1日(金) |
第7回公募 | 2020年3月10日(火) | 2022年2月4日(金) |
第8回公募 | 2022年3月22日(火) | 2022年6月3日(金) |
第9回公募 | 2022年3月22日(火) | 2022年9月20日(火) |
第10回公募 | 2022年3月22日(火) | 2022年12月9日(金) |
第11回公募 | 2022年3月22日(火) | 2023年2月20日(月) |
第12回公募 | 2023年3月10日(金) | 2023年6月1日(木) |
第13回公募 | 2023年3月10日(金) | 2023年9月7日(木) |
第14回公募 | 2023年9月12日(火) | 2023年12月12日(火) |
第1回公募からおおよそ3〜4か月の間隔で申請が受け付けられています。なお、採択結果公表までの期間は締切後、約2か月程度となっているようです。
過去の採択結果と事例
「小規模事業者持続化補助金<一般型>」の採択結果は第13回公募までが公表されています。過去の採択結果の推移は次表のとおりです。
公募回 | 申請件数 | 採択件数 | 採択率 |
第1回公募 | 8,044件 | 7,308件 | 90.8% |
第2回公募 | 19,154件 | 12,478件 | 65.1% |
第3回公募 | 13,642件 | 7,040件 | 51.6% |
第4回公募 | 16,126件 | 7,128件 | 54.3% |
第5回公募 | 12,738件 | 6,869件 | 53.9% |
第6回公募 | 9,914件 | 6,846件 | 69.1% |
第7回公募 | 9,339件 | 6,517件 | 69.8% |
第8回公募 | 11,279件 | 7,098件 | 62.9% |
第9回公募 | 11,467件 | 7,344件 | 64.0% |
第10回公募 | 9,844件 | 6,248件 | 63.5% |
第11回公募 | 11,030件 | 6,498件 | 58.9% |
第12回公募 | 13,373件 | 7,438件 | 55.6% |
第13回公募 | 15,308件 | 8,729件 | 57.0% |
第1回公募を除くと、採択率はおおむね50〜60%前後で推移しています。なお、これらの情報は中小企業庁のサイトで確認することが可能です。
直近では2023年11月27日に第13回公募の採択結果が公表されました。採択を受けた取組の事例は次のとおりです。
- メンズ脱毛市場への進出による販路拡大
- 中山間地域の買い物弱者に向けた移動販売事業の品揃え強化
- 展示会出展及び専用ウェブサイト立上げによる会社認知度の向上
- 新客層獲得のための店舗改装とパッケージデザインの刷新
- インバウンド旅行者向けの観光PR動画制作事業
- 次世代自動車への対応のため整備技術を高度化し販路拡大
- 高効率・高機能の測量機能を導入して業務の効率化を図る
- 新規顧客を獲得するための広報活動及びホームページ作成
- 屋外広告看板設置やSEO対策などによる販路開拓
新しい市場やニーズ、社会課題に対応した取組に対しての支援が目立ちます。IT・DXを伴う設備導入による業務の効率化の取り組みへの支援も散見されました。
採択の基準と加点
「小規模事業者持続化補助金」では申請書類が審査され、点数が高い順に採択されます。採択の基準は公募要領に記載の「審査の観点」に沿った取組であるかがポイントとなり、主に次の項目が見られます。
- 自社の経営状況分析の妥当性
- 経営方針・目標と今後のプランの適切性
- 補助事業計画の有効性
- 積算の透明・適切性
なお、必要な提出書類がすべて揃っていることや取組に必要な能力や技術、ノウハウを保有しているといったことが前提になります。
また、一定の要件を満たすことで加点を受けることができ、「重点政策加点」と「政策加点」からそれぞれ1種類ずつ、合計2種類まで選択することができます。自社で該当しそうなものがある場合は要チェックです。
- 重点政策加点
①赤字賃上げ加点
②事業環境変化加点
③東日本大震災加点
④くるみん・えるぼし加点
- 政策加点
①賃上げ加点
②パワーアップ型加点
③経営力向上計画加点
④事業承継加点
⑤過疎地域加点
⑥一般事業主行動計画政策加点
加点を受けるためには「経営計画書兼補助事業計画書①(様式2)」の所定の欄にチェックを入れる必要があります。なお、「赤字賃上げ加点」については、「賃金引上げ枠」の赤字事業者を希望した場合に自動的に適用されます。
小規模事業者持続化補助金の対象となる経費
「小規模事業者持続化補助金」ではどのような経費が対象となるのでしょうか。ここでは対象となる経費の考え方について解説いたします。
策定した経営計画に基づいて実施する取組に要する経費
「小規模事業者持続化補助金」は事業者自らが経営計画を策定する必要があり、その計画に基づいて実施される取組に要する経費が対象となります。つまり経営計画に記載のない取組を行っても対象とはならないということです。
採択後の計画の変更も認められない訳ではありませんが、あまりにも当初計画とかけ離れた変更の場合、認められないこともあります。計画策定段階で自社や業界の将来の動向をしっかりと分析しておくことが重要です。
販路開拓のための経費
「小規模事業者持続化補助金」の主たる対象経費になります。具体的にはパンフレットやポスター、チラシ等の作成費やウェブサイト、ECサイトなどの構築・改修、展示会・商談会への出展費用などが挙げられます。取組の範囲は国内・海外やBtoC・BtoBを問いませんが、取組の成果が概ね1年以内に売上につながることが見込まれる取引であることが求められています。
なお、ウェブサイト関連の経費についてはそれのみ単独での申請はできず、補助金交付金額の1/4が上限となっている点にも注意が必要です。たとえば、取組がウェブサイトの構築だけといった申請がそれにあたり、補助金交付申請額は次のように計算されます。
- ウェブサイト関連費以外の経費に係る交付申請額45万円×2/3=30万円
- ウェブサイト関連費に係る交付申請額15万円×2/3=10万円
- 補助金交付申請額30万円+10万円=40万円
- ウェブサイト関連費に係る交付申請額10万円≦補助金交付申請額40万円×1/4=10万円
業務効率化のための経費
「小規模事業者持続化補助金」は業務効率化につながる取組に要した経費も対象とすることが可能です。しかし、単独の取組では対象とならず、必ず上で説明前述した販路開拓のための取組とあわせて行うことが要件となっています。
業務効率化の取組を行う場合には、「補助事業計画書②(様式3)」の「3.業務効率化(生産性向上)の取組内容」に取り組む内容の記載が必要です。なお、「3.業務効率化(生産性向上)の取組内容」に記載のみで、「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」の記載が無い場合は申請できません。
小規模事業者持続化補助金の補助率と補助上限
「小規模事業者持続化補助金」には複数の類型があり、それぞれ補助率や補助上限が異なります。ここでは募集されている5つの類型について解説します。
5つの申請類型
「小規模事業者持続化補助金」が始まった当初は補助率2/3、補助上限50万円の1類型のみでした。しかし、現在では度重なる自然災害や新型コロナ、法改正など事業環境の変化を受けて内容が充実し、使いやすく変化しています。令和5年度補正予算で募集されている類型は次表のとおりです。
類型 | 通常枠 | 賃金引上げ枠 | 卒業枠 | 後継者支援枠 | 創業枠 |
補助率 | 2/3 | 2/3(赤字事業者は3/4) | 2/3 | 2/3 | 2/3 |
補助上限 | 50万円 | 200万円 | 200万円 | 200万円 | 200万円 |
事業者はいずれか1類型にのみ申請が可能です。「通常枠」以外の特別枠では、追加で一定の要件が課され、取組終了時点で満たさない場合、補助金は支給されません。
対象者と申請要件
「小規模事業者持続化補助金」の対象者は日本国内の小規模事業者ですが、特別枠に申請するためにはさらに追加の要件を満たす必要があります。「通常枠」よりも手厚い支援を受けられるため、要件を満たせるのであれば積極的に狙っていきましょう。それぞれの対象者と満たすべき申請要件は次表のとおりです。
類型 | 対象者 | 申請要件 |
賃金引上枠 | 事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+50円以上とした事業者 | 取組の終了時点において、事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+50円以上であること |
卒業枠 | 常時使用する従業員を増やし、小規模事業者として定義する従業員の枠を超え事業規模を拡大する事業者 | 取組の終了時点において、常時使用する従業員の数が小規模事業者として定義する従業員を超えていること |
後継者支援枠 | 将来的に事業承継を行う予定があり、新たな取組を行う後継者候補として、「アトツギ甲子園」のファイナリスト等になった事業者 | 申請時において、「アトツギ甲子園」のファイナリスト又は準ファイナリストになった事業者であること |
創業枠 | 産業競争力強化法に基づく「認定市区町村」または「認定市区町村」と連携した「認定連携創業支援等事業者」が実施した「特定創業支援事業」による支援を受けた日および開業日(設立年月日)が公募締切時から起算して3か年の間である事業者 | 産業競争力強化法に基づく「認定市区町村」または「認定市区町村」と連携した「認定連携創業支援等事業者」が実施した「特定創業支援事業」による支援を受けた日および開業日(設立年月日)が公募締切時から起算して3か年の間であること |
特別枠での支援を受けるためには、「経営計画書兼補助事業計画書①(様式2)」や「補助事業計画書②(様式3)」の該当欄へのチェックや申請・実績報告時に追加の書類を提出する必要があります。それぞれ自社の申請する枠の要件をよくご確認ください。
インボイス特例による補助上限額の上乗せ
2021年9月30日から2023年9月30日の期間で一度でも消費税の免税事業者であったまたは免税事業者であることが見込まれる事業者、2023年10月1日以降に創業した事業者のうち、適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者は、補助上限額が一律50万円上乗せされます。ただし、採択されていても取組の終了時点で要件を満たさない場合は、補助金は交付されません。
小規模事業者持続化補助金における商工会・商工会議所の役割
「小規模事業者持続化補助金」の申請には、商工会・商工会議所の支援を受けることが必須の要件となっています。ここでは商工会・商工会議所の概要や役割について説明します。
商工会・商工会議所とは
商工会・商工会議所はそれぞれ商工会法・商工会議所法を根拠法として設立された特別認可法人です。それぞれ会員を募集しており、声を掛けられたことのある方もおられるのではないでしょうか。商工会は中小企業の支援、特に小規模事業者の支援に重点を置いているのに対し、商工会議所は事業者支援に加え、地域の総合経済団体として幅広い事業を行っているという特徴があります。なお、支援の有無について、会員・非会員の区別はありません。
商工会・商工会議所はいずれも「認定経営革新等支援機関」として認定されています。「認定経営革新等支援機関」とは、税務、金融及び財務などの実務経験が一定以上の水準にあることについて国から認定を受ける制度で、中小企業等に対して高い専門性を持って支援を行うことが可能であることを証明するものです。
補助金における役割
商工会・商工会議所は「小規模事業者持続化補助金」のオフィシャルな相談窓口となっています。事業者が申請するためには必ずどちらかの支援を受ける必要がありますが、会員となるかは任意です。商工会・商工会議所の支援とは、「事業支援計画書(様式4)」の発行と取組み実施時における助言等を指します。
「小規模事業者持続化補助金」以外の支援制度についても「認定経営革新等支援機関」の支援を受けることが必須となっているものがあります。会費も高額でない場合が多く、新しい支援制度の創設や募集の開始など事業者に役立つ情報も一早く手に入れることができるため、会員になって上手に活用しても良いでしょう。
管轄と地域別の取り組み
商工会は主として町村、商工会議所は市の区域を管轄しています。個人事業主の場合は確定申告書に記載または創業予定地の住所、法人の場合は本店所在地を管轄している商工会・商工会議所への相談が基本になります。現在、市町村合併等により同じ市内に商工会・商工会議所が併設しているというイレギュラーも発生していますが、その場合は合併前の旧市町村で考えていただければ大丈夫です。
商工会・商工会議所はそれぞれ独自の支援体制をとっており、取り組みも大きく異なっています。特に、商工会議所は日本商工会議所という取りまとめ機関はあるものの、それぞれが完全に独立した運営を行っています。一方、商工会は県単位で体制は統一されており、ある程度サービスに均一性があると言えます。
小規模事業者持続化補助金に申請した後の対応
「小規模事業者持続化補助金」に申請した後の流れはどのように進んでいくのでしょうか。ここでは申請書類を作成し、申請を行った後の流れについて解説します。
審査と採択結果の通知
「小規模事業者持続化補助金」の採択結果は、「審査の観点」に基づき、有識者等によって構成される委員会によって非公開で行われます。仮に不備等があったとしてもヒアリング等での確認はされませんので、提出書類の抜け漏れがないようご注意ください。
おおよそ2か月後に採択結果が公表され、応募者全員に採否の通知が届きます。採択を受けた事業者の名称や補助事業名等も公表されます。採択審査結果の内容についての問い合わせは受け付けられていません。なお、採択された場合でも、予算の都合等により希望金額から減額される可能性もあります。
補助事業の実施と成果報告の方法
「小規模事業者持続化補助金」に採択され、交付決定を受けた後、補助事業に取り組むことができます。補助事業の実施期間は最大で6か月程度とされており、この期間内に補助事業をすべて完了する必要があります。補助事業の完了には、対象となる経費の支払いも含まれるため、一度支払うための資金を自己資金や融資などで準備しておく必要があります。
補助事業がすべて終了すれば、その日から起算して30日を経過した日または事務局の定める提出期限のいずれか早い日までに実績報告書を提出します。対象となる経費の支払いに使用した請求書や領収証等の書類も必要となるため、紛失してしまわないよう保管をしておきましょう。
事業の状況報告の方法
「小規模事業者持続化補助金」は実績報告が完了し、補助金の給付を受ければすべて終了という訳ではありません。補助事業終了から1年を経過した後の成果を報告する義務があります。事務局からメールで通知がありますので、見落とさないよう注意しましょう。
報告書の作成には、交付決定時に事務局から受け取った通知書と補助事業に取り組んだことで得た売上や利益などのデータを準備します。提出には申請時の電子申請システムを使い、システム上に必要事項を記入、報告書様式を添付します。
小規模事業者持続化補助金に関する情報の取得方法
最後に「小規模事業者持続化補助金」に関する情報の取得方法について紹介します。補助金界隈は怪しい業者も多いため、信頼できる情報源を利用しましょう。
事務局ホームページの閲覧
最も確実な情報源は「小規模事業者持続化補助金」事務局の運営するホームページです。公募要領や申請に必要な様式のデータも揃っており、申請される事業者は必ずここを訪れる必要があるでしょう。公募要領や申請様式は公募回によって異なっている場合もあるため、必ず事務局ホームページで最新のものを取得してください。
なお、度重なる公募でホームページ自体も複数存在しています。ホームページの掲載内容をよく確認し、現在募集されている公募回のものをご利用ください。
国等の運営するサイトで検索
続いてオススメするのは国等が運営するサイトです。中小企業庁の「中小企業向け補助金・総合支援サイト ミラサポplus」や独立行政法人中小企業基盤整備機構の「支援情報ヘッドライン J-Net21」などが挙げられます。公的な機関のサイトということで掲載されている情報は信頼することができます。
これらのサイトでは「小規模事業者持続化補助金」以外の補助金の情報や事業について相談できる専門家の紹介など事業者に役立つ情報が掲載されています。ぜひ貴社の経営の発展のためご活用ください。
<h3>商工会・商工会議所の窓口に相談</h3>
ネットで調べることが苦手という方は最寄りの商工会・商工会議所の窓口で相談しましょう。前述したとおり、商工会・商工会議所は「小規模事業者持続化補助金」の申請に必須の「事業支援計画書(様式4)」の発行元となっています。できるだけ早い段階で担当者と面談し、申請の意思があることを示しておくと後々手続きがスムーズです。
「事業支援計画書(様式4)」発行の受付締切直前は他の事業者で混み合い、手続きに時間がかかる可能性があります。担当者との協議も不十分になってしまうため、申請には十分に余裕を持ったスケジュールで臨みましょう。
この記事を書いた人
診断士ライターH
中小企業診断士。これまで事業者の融資・補助金申請を200件以上支援した経験を持つ。SNS運用などWebを使ったマーケティングも得意としており、クラウドファンディングではこれまでに累計1,000万円を超える支援金の獲得をサポート。簿記・FP・基本情報技術者等の資格も保有し、ビジネス・金融・IT系のWebライターとしても活動。