
開業直後の事業者がメガバンクで口座開設するメリットや注意点などを詳しく解説
開業直後の事業者がメガバンクで口座開設をすることはできるのでしょうか?
結論からいえば、メガバンクで口座開設、特に法人口座を開設するのは難しい傾向にあります。
口座開設の審査では他の金融機関に比べてメガバンクの審査は特に厳しく、中でも経営実績のない、あるいは乏しい創業1年目の事業者などにはハードルが高いです。
それでもメガバンクで口座開設することは事業者にとって様々なメリットがあり、挑戦する価値は大いにあります。
本記事では、創業間もない事業者がメガバンクで口座開設する際のメリット及びデメリット、注意点など詳しく解説します。
メガバンクで口座開設するメリット
メガバンクで口座開設するメリットは主に以下の5つです。
取引先からの信頼が上がる
メガバンクは、その知名度と事業者に与える影響の大きさから社会的信用度が高いです。
地方銀行や信用金庫等に比べて口座開設が厳しいため、メガバンクで口座開設できただけでも事業者としての信用力の証になります。
特にメガバンクをメインバンクにしていたら、それだけで取引先からの信頼も格段に上がることでしょう。
全国に支店があって利便性が高い
メガバンクは全国各地に支店があるため様々な場所で銀行サービスの利用ができます。
預金の入出金、振込、融資相談など、対面を含む各種サービスが使えます。
全国に支店や営業所を持つ会社経営者や幹部・職員が出張で旅行した際も、近隣のメガバンクで必要な銀行業務を行えるので、その点でもメガバンクの口座開設は有利です。
海外にも振込できて貿易取引に有利
メガバンクは国内だけでなく外国にも多くの支店があります。
そのため海外送金や外貨取引もスムーズにできて、海外に営業拠点を持つ会社や貿易取引をしている企業にとってメガバンクで口座開設することは極めて便利です。
多額の融資が受けられる
メガバンクで口座開設できたら将来的にその銀行で融資も受けられる可能性が上がります。
メガバンクは豊富な資金力から地銀や信用金庫に比べて1回当り多額の融資が可能です。会社が不動産業など営んでいる場合はそのメリットを享受できます。
さらに地銀や信用金庫より低利の融資が期待でき支払利息の節約にもつながります。
子会社からの金融サービスも受けられる
メガバンクで口座開設できたら子会社や関連会社からの各種金融サービスも受けられます。
メガバンクは銀行として預金・融資業務を行う以外にも、グループとして傘下に子会社や関連会社を多く持っているため、リースやファクタリング、ベンチャー投資、市場調査やコンサルティングなど、事業者が必要とする各種サービスが受けられます。
会社が必要な金融サービスを個別に業者に依頼するより、メガバンクと取引していれば、一気通貫で金融サービスを受けられるので利便性が極めて高いです。
メガバンク取引のデメリット
一方メガバンク取引でもデメリットはあります。
以下の2つが主なデメリットです。
審査が厳しく特に法人口座の開設が難しい
一般的にメガバンクの口座開設は地方銀行や信用金庫の口座開設と比べて難しいといわれています。
審査項目を公表していないので対策するのは難しいですが、会社の資本金などが少ないとメガバンクでの口座開設は難しいでしょう。
このように、メガバンクでの口座開設にこだわりすぎると審査期間が伸びて会社業務に支障が出る可能性があります。
そこで、先に地方銀行やネット銀行等で口座開設を行い、のちに経営実績を積んであらためてメガバンク取引を目指すのも一つの方法です。
口座維持手数料等の手数料がやや高め
メガバンクで口座開設すると口座維持手数料が掛かります。
メガバンクの口座維持手数料は他行より高いケースもあり、各種手数料で無料対応をしているネット銀行と比べてもランニングコストが高めです。
開業直後の会社など、少しでも経費を抑えたい企業にとって、この点はデメリットになります。
メガバンクの口座開設のハードルが高い理由
メガバンクの口座開設が他行と比べ、ハードルが高いことはすでに述べましたが、その理由は何でしょうか?
以下の3つがその主な理由です。
企業としての実績や信用を他行以上に求められるから
メガバンクの口座開設では、企業としての実績、具体的には取引先の数や事業規模、ならびに信用度、具体的には収益力や対外的信用力などを厳しめに審査します。
このような審査項目をクリアしないと口座開設は難しいでしょう。
ただし法人成りした直後の会社だと、たとえ法人としての実績がなくても、個人事業主時の実績も考慮に入れて審査してくれるので、メガバンクで口座開設できる可能性はあります。
口座を通じた犯罪や不正による影響力が大きいため
メガバンクで口座開設が難しくなっている理由のひとつに、マネーロンダリングやテロ資金供与など、銀行口座を通じた犯罪や不正の防止があります。
メガバンクはその巨大な事業規模のため社会に大きな影響力があり、犯罪や不正につながる口座開設を許してしまうと、犯罪等が顕在化した場合に社会から大きな批判を受けてしまいます。
このように、メガバンクとしても口座開設を厳格化せざるを得ない理由もあるのです。
取引先の選別化が進んでいるため
メガバンクによる取引先の選別化が進んでいることも口座開設を難しくしている要因の一つです。
メガバンクも、他の銀行同様、他業種から銀行業務への参入、ネット銀行の台頭等を受けて、本業での収益力が低下していることから、組織的によりスリムで収益力の高い事業モデルにならざるを得なくなっています。
取引先の選別化もその流れのひとつで、より優良な取引先を囲い込む反面、信用力に乏しい顧客はメガバンク取引から排除される傾向が強まっています。
口座開設でも、将来的にメガバンクの優良な取引先となる可能性のある先は別として、将来性の見込めない事業者は口座開設を拒否される可能性が高くなっています。
メガバンクで口座開設をスムーズに行うためには?
上記の3つの理由からメガバンクでの口座開設は難しいのが実態ですが、それでも十分対策をして臨めば口座開設は決して夢ではありません。
以下でメガバンクの口座開設を実現に導く対策を6つ解説します。
資料を整備して業務内容を明確にする
かつてメガバンクでは、口座開設において企業の規模や実績重視で、開業間もない法人等に対して口座開設が難しい時代がありました。
しかし現在では、斬新なアイデアや仕組み等を起爆剤に、実績のない会社でも一気に成長する例が増えているため、メガバンク側も過去の実績だけでなく、事業計画の内容や将来性も重視するようになってきました。
そのため開業直後の法人でも、事業計画書やキャッシュフロー等の資料を整え業務内容を明確にして臨めば、口座開設できる可能性は広がっています。
資本金を多めにする
メガバンクの口座開設の審査を通過するため、事業者は資本金を多めにして審査に臨むことをおすすめします。
特にメガバンクで法人口座を開設したいなら資本金の額は高めであるに越したことはありません。
資本金の額は審査で会社の安定性を図る物差しにされており、資本金が少ないと業況の悪化ですぐに債務超過に陥ってしまうので、メガバンクでは特に重視しています。
法改正で最低資本金制度が廃止されたからといって、それはメガバンクでの口座開設とは別です。
メガバンクで口座開設をめざすなら、まずは資本金の充実を図りましょう。
代表者の信用情報を傷つけない
社会的に信頼性の高いメガバンクは、審査で口座開設を依頼してくる事業者個人の信用度も重視しています。
もし申込者の個人信用情報に問題があれば口座開設は難しくなると理解して下さい。
信用情報に問題があるということは、具体的には事業者が過去に債務を任意整理していたり、借入金を滞納していたりしたことを意味します。
任意整理や滞納の記録は、金融機関を通じて個人信用情報センターに報告され一定期間保存されます。
たとえば本人が自己破産していたら、その事実が個人信用情報機関に最大10年間記録・保存されるので、銀行がそれを確認したら口座開設することはまずありません。
信用情報機関での登録期間を過ぎて信用情報が回復するまではメガバンクでの口座開設は控えましょう。
メガバンクと取引中の顧客や士業から紹介してもらう
メガバンクと取引している顧客、あるいは弁護士や公認会計士等の士業から紹介を受けて口座開設を申込みするのもメガバンクの口座開設の可能性を高める方法です。
メガバンクで取引できている顧客や士業なら、メガバンクからの信用度も高く、その方が紹介する相手もメガバンクとして尊重せざるを得ないからです。
ただし紹介してもらったからといって、それが口座開設を保証しているものでなく、あくまでメガバンクとしては所定の審査を行います。
しかし優良な取引先から紹介を受けたという経緯から、メガバンクとしても対応には前向きにならざるを得ず、経営的判断から口座開設が可能となるケースもあります。
メガバンクでも小規模な支店で口座開設を申込む
事業としては将来性があり成長性・収益性が見込めても、開業直後も実績に乏しい企業はメガバンクの大店舗での口座開設は難しいケースもあります。
そこで、視点を変えて、大規模店舗でなく、小規模な店舗での口座開設にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
メガバンクといっても、店舗規模も様々であり、口座開設の判断や決済をしているのは個々の支店の支店長です。
ベンチャー的性格を持つ事業者に対して口座開設を前向きに考えてくれるメガバンクの支店責任者もいます。
頭を切り替えて、メガバンクの小規模店での口座開設も選択肢に入れてみましょう。
ただし口座開設は、自社の本店所在地がある地域の銀行の店舗に申込が限定されるという制約があることも忘れないで下さい。
開業時にはバーチャルオフィスなど利用しない
開業時には自社の本店所在地としてバーチャルオフィス(レンタルオフィス)を登録しないこともメガバンクの口座開設の可能性を高める条件です。
大手の銀行、特にメガバンクは、法人の本店所在地にバーチャルオフィスが登記されていると、信頼性に欠けるとしてそれが口座開設拒否の理由になることがあります。
バーチャルオフィスを利用していると、メガバンクとして会社の実態が掴みにくいだけでなく、犯罪行為の口座として悪用される危険性も感じて積極的に口座開設に応じようとはしません。
反対に、それなりにコストを掛けたオフィスを借りて創業していれば、開業直後でもしっかりした会社として信頼されることもあります。
バーチャルオフィスの利用が一概に悪いわけではありませんが、メガバンクでの口座開設をめざすなら、それなりに配慮した場所での法人登記を行いましょう。
まとめ
開業直後の事業者がメガバンクで口座開設をするときのメリットやデメリット、開設時の注意点など、詳しく解説しました。
事業者がメガバンクで口座開設できれば、多くのメリットがあります。
しかしメガバンクの口座開設に係る審査はかなり厳しいので、それにこだわり続けるのは時間がもったいない場合もあります。
上述のように、まずは口座開設を地方銀行や信用金庫、ネット銀行などで行い、経営実績と信用を積んでからメガバンクに口座開設を依頼する方法もあります。
メガバンクの特徴をよく理解した上で口座開設に臨んで下さい。