2024年6月9日 投稿者: 2of オフ

個人事業主や小規模法人の税理士報酬の相場(目安)とは?

「税理士に依頼したらどれくらいの費用がかかる?」「税理士報酬をなるべく抑えたい」

このような疑問をお持ちの人も多いでしょう。

税理士の料金体系は事務所によって違いが大きい上、報酬額は様々な要素によって変動します。しかし、料金体系のパターンや大まかな相場、費用が変動する要素を知っておけば、大まかなイメージを持つことができ、適切な額での契約ができるでしょう。

今回は個人事業主や小規模法人の税理士報酬の相場(目安)について詳しく解説します。

税理士報酬の料金体系

前提として、個人事業主や小規模法人と税理士の契約形態は以下の2つに大別されます。

  • スポット契約(単発契約)
    特定の業務や相談を単発で依頼するやり方です。依頼の発生頻度が低い、もしくは依頼する範囲が狭い場合はスポット契約を行うケースが多くみられます。
  • 顧問契約
    税理士と継続的な契約を結び、会計や税務に関する幅広いサポートを受けるやり方です。毎月発生する業務の依頼や、回数を問わず相談したい場合は顧問契約が適しています。

スポット契約の料金は業務内容ごとに設定されているケースが多いです。複数の業務を依頼する場合は、個々の業務の報酬やボリューム等を加味しながら合計額を決定します。

他方、顧問契約の報酬は「月額顧問料+決算申告料+その他オプション費用」というケースが一般的です。顧問契約に含まれる内容として以下の例が挙げられます。

  • 月額顧問料
    • 会計・税務に関する相談
    • 節税対策や決算対策等のアドバイス、サポート
    • 会計帳簿のチェック
    • 月次決算書の作成
    • 試算表の作成
    • 各種税務書類の作成
  • 決算申告料
    • 決算書類の作成
    • 税務申告書の作成・提出
  • その他オプション費用 ※オプションごとに費用が設定されているのが一般的です。
    • 記帳代行
    • 給与計算
    • 資金調達サポート
    • 年末調整
    • 償却資産税の申告

顧問料に含まれる業務とオプション扱いの業務は税理士によって違いがあります。自身が税理士にお願いしたい業務や課題を踏まえて、最適なプランを提供している税理士を探せると良いでしょう。

個人事業主や小規模法人の税理士報酬の相場

前提として、個人事業主と法人の税理士報酬を比較すると法人の方が高額です。法人の税理士報酬が高額になる理由として以下の2つが挙げられます。

  • 法人の方が会計・税務関連の作業量が多い
  • 法人税申告の方が所得税申告よりも難易度が高い

社長1人の会社で、個人事業主の頃と事業内容や規模に大きな違いがないとしても、法人の方が税理士報酬は高くなる点を押さえましょう。

顧問契約の場合

まずは顧問契約における税理士報酬の相場です。

前章で、顧問契約の報酬には「月額顧問料+決算申告料+その他オプション費用」が含まれるケースが多いと紹介しました。それぞれの大まかな相場は以下の通りです。

【個人事業主の場合】

月額顧問料1万円~3万円 ※月額料金は発生せず、確定申告のタイミングで一括払いのケースも多くみられます
決算申告料白色申告:5万円~10万円程度 青色申告:10万円~20万円程度 ※おおむね月額顧問料の4ヶ月~6か月分が目安です。また、記帳代行を依頼するか否かによって費用が大きく変動します。
その他オプション費用譲渡所得や消費税申告がある場合、オプション費用が発生するのが一般的です。

【法人の場合】

月額顧問料2万円~10万円
決算申告料10万円~
※個人事業主と同様、月額顧問料の4ヶ月~6か月分が目安となります。ただし決算の内容によって大きく変動するため一概にはいえません。
その他オプション費用記帳代行:月5,000円~ 年末調整:基本料金1万円~3万円程度+1人当たり1,500円~3,000円 税務調査立ち合い:5万円程度

スポット契約の場合

法人が税理士と顧問契約を結ばないケースはあまり多くありません。法人の会計処理は個人事業主よりもはるかに複雑であり、法人税申告にも高度な専門知識が必要となるからです。法人は会計・税務について相談やサポートが必要な場合は顧問税理士に依頼するケースが一般的なため、スポット契約を結ぶ機会は限られています。

そこで、本項では、個人事業主のスポット契約について解説します。

個人事業主が税理士とスポット契約を結ぶケースとして主に以下の2つが挙げられます。

  • 基本的な会計・税務処理は自身で対応しており、必要に応じて都度相談をする
  • 顧問契約は結ばず確定申告の時期に都度スポット契約で依頼する

それぞれの費用相場は以下の通りです。

必要に応じて都度相談相談料1回当たり5,000円~1万円 ※相談とは別に業務も依頼する場合は税理士の定める料金体系に従います
確定申告のみ依頼白色申告:5万円~10万円程度 青色申告:10万円~20万円程度 ※確定申告報酬に顧問契約の場合と大きな違いはありません

税理士報酬の変動要因

ここまで、税理士報酬の相場を紹介しましたが、上記はあくまで「相場」であり、個々の事情に応じて費用が大きく変動するケースもあります。

この章では税理士報酬の変動要因を4つ紹介します。

依頼する内容

同じ顧問契約でも、依頼する内容によって費用相場は大きく変わります。たとえば毎月の記帳は自社で行いチェックのみを依頼する場合と、記帳代行を含めて依頼する場合では後者の方が高額になるケースがほとんどです。

※税理士によっては記帳代行も基本料に含めているケースもあります。

基本的に、依頼する内容が多い・依頼する内容の難易度が高い場合は、税理士報酬が高額になる傾向です。

事業規模や作業量

事業規模や作業量も税理士報酬の金額を左右します。

事業規模は売上や従業員数で判断するケースが多いです。たとえば月額顧問料や決算申告料は「年商○万円~○万円:●円、△万円~△万円:▲円」のように、年商をベースに設定する税理士が多くみられます。年商規模が大きいほど料金も高額になるのが一般的です。

従業員数をベースに費用が決まる作業として、年末調整や給与計算が挙げられます。いずれも依頼する人数が多くなるほど1人当たりの単価が安くなる傾向です。

業種

業種によっては追加料金が発生するケースもあります。

たとえば製造業は財務三表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)に加え、製造原価報告書も作成するのが一般的です。また、原価計算が必要であり会計処理の量も多いため、他の業種よりも税理士報酬が高額な傾向がみられます。

同じ業種でも、事業内容の性質から複雑な会計・税務処理が必要な場合は通常よりも費用が高額になりがちです。

訪問回数

税理士による訪問回数が多いと月額顧問料も高額になりがちです。税理士との定期的な面談は経営状況の把握や会計・税務に関する疑問の解消に最適な機会ではありますが、回数が多いほど費用の負担も高額になるため最適な頻度を見極めるようにしましょう。。

税理士報酬を抑える方法

最後に、税理士報酬を抑える方法を3つ紹介します。

依頼内容を見直す

税理士報酬の引き下げに最も効果的なのが依頼内容の見直しです。例えば記帳代行や給与計算等のオプションを依頼している場合、どちらか一方だけでも自社で行えばその分報酬額を抑えられます。

税理士に依頼している内容のうち、自社で対応できる作業がないか確認してみましょう。

訪問回数を減らす

顧問契約の中に税理士による訪問が含まれている場合、訪問回数を減らすことで税理士報酬を抑えられる可能性があります。訪問ではなくオンライン面談への切り替えによって報酬を引き下げる税理士もみられます。

税理士に直接相談する

現在の税理士報酬が高額と感じている場合、税理士に報酬額の引き下げについて相談するのも1つの手段です。条件付きで報酬額の引き下げに対応してもらえるケースや、報酬額は変わらないものの支払い猶予を受けられるケースがあります。

まとめ

以上、解説してきた通り、税理士報酬の相場は個人事業主と法人で大きく異なります。また、依頼する内容・事業規模・業種等の要因によっても変動するため、報酬額がいくらになるか一概にはいえません。

しかし、大まかな目安や報酬の変動要因を知っておけば、必要以上に高額の報酬になってしまう事態を回避しやすくなります。事前に自社の事業規模や依頼内容等を整理し、税理士報酬がどのくらいになるかシミュレーションするのもおすすめです。

適正額での契約をするために、税理士報酬について理解を深めておきましょう。

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