離職票と退職届の違いを簡単に解説!それぞれの注意点も詳しく紹介!
独立開業や転職を理由に現在の職場を退職しようと決めたとき、どのような書類が必要なのか分からない方は多いのではないでしょうか。そこで、この記事では、「退職届」と「離職票」の違いを簡単に解説します。
「退職届」は耳馴染みのある方も多いと思いますが、特に転職経験のない人にとって「離職票」は、どんな書類なのかイメージがもてないのではないでしょうか。
でも、離職票についてきちんと理解しておかないと、退職後の生活に支障をきたす場合があるため注意が必要です。
この記事では、離職票と退職届の注意点についても解説するので、独立開業に向けて退職を考えている人は参考にしてみてください。
離職票と退職届の違いとは?
まずは離職票と退職届の違いを簡単に説明します。
結論からいうと、離職票と退職届は根本的に異なります。
離職票はハローワークから発行される書類です。そのため、会社に「離職票を作成してください」と言ったところですぐにもらえるものではありません。会社は、雇用保険に加入していた退職者の希望に応じてハローワークに離職票の発行を申請し、後日、会社を通じて退職者の手元に届く仕組みとなっています。
それに対して、退職届は退職者自身が作成する書類です。自分の退職を通告するための書類で、会社に直接提出します。
離職票とは?
離職票と退職届が異なる書類だと分かっても、離職票の具体的な役割について知らない方も多いでしょう。以下では、離職票の役割や発行手続きの流れについて解説します。
離職票が必要になるとき
離職票は、失業手当を受け取るのに欠かせない大事な書類です。雇用保険に加入していた退職者で次の職が決まっていないとき、または独立開業に向けて準備期間が必要なときに欠かせません。次の仕事が決まるまでの間や独立開業までの期間は、言ってみれば「無職」です。十分な貯金があればまだしも、この時期の生活費は主に失業保険でまかなわれるパターンがほとんどでしょう。
したがって、退職後にすぐに別の会社に入社が決まっている方、すでに独立開業の準備が整っている方のように、失業保険を受け取らない場合は不要となります。
離職票の発行手続きの流れ
離職票の発行手続きの流れについては以下の通りです。
- 会社に離職票の発行を依頼する
- 会社がハローワークに離職証明書と雇用保険被保険者資格喪届を提出する
- ハローワークから会社に離職票を送付する
- 会社が退職者に届いた離職票を送付する
大まかな流れとしては上記の4ステップとなります。ただし、会社がハローワークに離職証明書と雇用保険被保険者資格喪届を提出するのは「退職日翌々日から10日以内」の期限があるため注意が必要です。
離職票に関する注意点①電子申請も利用できる
離職票の申請手続きは電子申請も可能です。2020年4月からは、資本金や出資金額が1億円を超える法人や相互会社など特定の会社に対しては電子申請が義務化されています。
電子申請のメリットは個人情報漏洩のリスクが低下すること。退職者の個人情報が記載された書類を持ち歩く必要がないため、情報漏洩が不安な方も安心です。また、電子申請だと紙よりも手続きにかかる時間を削減できる利点もあります。厚生労働省が電子申請の手続き方法を公開しているので参考にしてみましょう。
参照:「雇用保険被保険者資格喪失届 (離職票交付あり) 電子申請手順」
離職票に関する注意点②退職理由で失業手当の条件が変わる場合がある
退職理由で失業手当の条件が変わる場合があります。例えば、自己都合退職の中でも理由が正当なものでないと、失業手当の給付開始が遅くなったり、給付期間が短くなったりと制限がかかることも。
退職者側と会社側の認識が異なってしまうと、退職者側が損してしまう恐れがあるため要注意です。分かりやすい例を挙げると「配偶者の転勤による離職」は自己都合退職ではなく特定理由退職者となります。これを会社側が自己都合退職にしてしまうと、失業保険の給付を十分に受けられなくなってしまうのです。
独立開業を理由とする退職の場合は自己都合退職に該当します。しかし、退職後すぐ事業を開始する場合はそもそも受給対象から外れてしまいますので注意しましょう。
離職票に関する注意点③離職票が届かない場合は会社に問い合わせる
原則として離職票がなければ失業保険を給付できません。もしも離職票が届かない場合は、ハローワークではなくまずは会社に問い合わせましょう。会社が申請を忘れている場合もあります。
もしも会社がなかなか申請をしてくれない場合や督促しても届かない場合、身元確認書類と退職証明書のような退職を証明できる書類があればハローワークでも対応してくれます。
離職票に関する注意点④早めに発行してもらう
離職票の発行は後回しにしないことが大切です。離職票がなければ失業保険を給付できないだけではなく、先述したように申請には期限があるからです。退職日翌々日から10日以内が申請の期限と定められており、あまり悠長にしている余裕はないでしょう。
退職が決まったら、離職票が必要になることを伝えておくのが得策です。退職日まで期間が空く場合は退職日が近くなってから伝えても構いません。
<h2>退職届とは?</h2>
次に退職届について解説します。独立起業や転職で退職を検討している方すべてに共通する届となるため、必ず内容を理解しておきましょう。
退職届が必要になるとき
退職届は自身の退職を会社に通告するための書類です。退職届の前に「退職願」を提出し、会社が退職を承認してから改めて退職届を提出する流れとなります。
「辞表」と悩む方もいますが、辞表は公務員や会社役員が退職を申し出る際に提出するものです。そのため、一般の会社員であれば退職願と退職届を提出するのが基本の流れとなるので覚えておきましょう。
退職届に関する注意点①会社の就業規則を必ず確認する
退職願や退職届に関する内容は会社によって規則が設けられています。特に退職願や退職届については、会社が定める書式が存在しているケースも少なくありません。そのことを知らずに、自分自身で届を作成してしまうと、再提出の必要があるなど手間が生じてしまいます。
退職を決めたら必ず会社の就業規則を確認し、手順に沿って退職届を提出しましょう。
退職届に関する注意点②退職を決めたら早めに提出する
退職を決めたら早めに提出するのも大事なポイントです。一般的には退職の1か月前と言われていますが、会社によっては規則で2か月前としている場合もあります。もしも何も知らずに1か月前に退職願を提出してしまうと、上司から受理されず、退職が難航してしまうかもしれません。
退職を決めたら早めに行動すること、そして最低限いつまでに提出する必要があるのか、上司や関連部署に必ず確認しましょう。
退職届に関する注意点③独立起業の場合は「一身上の都合」で問題ない
退職と聞くと転職を理由としたものが多いですが、近年では独立起業のために退職する人も珍しくありません。しかしながら、独立起業による退職の場合、退職届にどう書くべきが迷う方も多いでしょう。一般的な転職や家族の介護などは「一身上の都合」となりますが、独立起業の場合はどのように書くのが正解なのでしょうか。
独立起業の場合も「一身上の都合」で問題ありません。わざわざ「独立起業のため」と書く必要もないため、聞かれたら口頭で答える程度でいいでしょう。
退職届に関する注意点④退職届は基本的に撤回できない
一度会社に提出した退職届を撤回することはできません。退職届が受理された時点で、労働契約が解除されるからです。
ただし、退職願の時点では撤回できるケースもあります。もしも独立起業を考えていて、「今はまだ早いかも」と思った段階でも、退職願の時点では撤回できる可能性があるため、早めに申し出るようにしましょう。
離職票と退職届は別物!混同しないように注意しよう!
今回は離職票と退職届の違いを簡単に説明しました。離職票と退職届は異なる書類です。離職票は失業保険を給付する際に必須となるもので、会社からハローワークに申請し、最終的に退職者の手元に届きます。一方で退職届は退職者が作成して会社に出す書類で、退職願が受理されてから提出する書類です。
名前が似ているので混同しやすいですが、それぞれの性質は異なるため注意が必要です。独立起業を目指している場合、準備期間中でも失業保険を受けられます。そのため、忘れずに離職票を発行してもらいましょう。