10年間営業マンを経験した私が伝えたい!謝罪メールの書き方の極意
これまでに仕事で謝罪メールを送る機会に直面し、どのような文面を送ればよいか悩んだ経験のある方は多いのではないでしょうか。人間が仕事を進める以上、ミスや行き違いは付き物ですが、初動を誤るとその後の関係修復が困難になることもあります。自分自身や会社への損害にも繋がりかねないため、適切な対応をとることが必要です。
今回は10年間営業マンを経験した私が、謝罪メールの基本を例文も交えながら説明します。特に個人事業主や開業予定者など気軽に聞ける相手が周囲にいない方はぜひ最後までご覧いただき、今後の仕事に活用してほしいと思います。
ビジネスシーンにおける謝罪メールの基本
謝罪メールの作成が必要ということは、仕事が中断、もしくは停滞していることを意味します。「納品」や「入金」というゴールまでの過程で支障が発生すると、相手からの信用や信頼も低下し、最悪の場合は仕事が無くなってしまうこともあります。
事態が発生した場合は関係修復を目指し、謝罪メールを早急に作成、または返信することがビジネスにおいては基本です。特に相手からクレームや感情的な内容のメールが届いた際は至急返信する必要があります。「メールで届いているため緊急性はない」と判断する人もいますが、この考えは危険です。関係者への周知や事態を記録する目的でメールを使う人もいるため早急に対応しましょう。
謝罪メール作成時のポイントと注意点
謝罪メールには謝罪の言葉のみを記載すれば良いというわけではありません。先述のとおり関係修復に努め、ゴールに向けて再設計した道を示すことも必要です。具体的には以下の手順で作成します。
➀謝罪
➁責任の所在を明記
③再設計したプランを提示
④謝罪
相手には➀と➁で共感、③で安心、④で誠意を与えることがポイントです。④は➀と重複しますが、謝罪メールの締め言葉としての役割もあるため活用しましょう。場合によっては相手にも非が認められるケースもあるかもしれません。しかし、自らに少しでも反省を感じるのであれば、先に謝罪する方がその後相手と良好な関係を築きやすいです。
また、誤字や脱字に注意することも必要です。直接的な影響はありませんが、マイナスの事態が発生している時に誤字脱字が見つかると、あなたへの心象もより悪くなってしまいます。充分にチェックしたうえでメールを送信するようにしましょう。
謝罪メールが必要となるビジネスシーンは?例文とあわせて解説
それでは、実際の場面でも活用できる例文をさきほどの手順を用いて作成していきます。
イメージがより湧くように謝罪メールを送る人物も設定しました。
※社会人8年目、勤怠システム販売、新規営業や既存顧客のアフターフォローで毎日多忙
<シーン1>
新規のクライアントとシステム設計の打合せが長期化しており、納期を不安視する内容のメールがクライアントから届いたため、謝罪メールを作成
〝この度は不安なお気持ちにさせてしまい大変申し訳ありません。
ご指摘のとおり設計要件を確定するまでに時間を要し、当初のスケジュールから遅れている状況です。弊社で事前に設定した打合せ回数の見積りが甘かったと反省しています。
ただ、今後についてはご安心ください。さきほど関係者と緊急会議をおこない、スケジュールを再作成しました。納期はもちろん、本番までに貴社側でご確認いただく日数やタイミングにも変更はありません。
再作成したスケジュール表は後ほど送付させていただきます。
この度は大変申し訳ありませんでした。重ねてお詫び申し上げます。
前章で説明した謝罪メールの作成手順➀~④を取り入れています。
このケースではクライアントがあなたに対して不信感を持ち始めているため、それを払拭することが求められます。クライアントに安心してもらえる材料をしっかり提示しましょう。場合によっては材料が揃いきらないこともあるかもしれませんが、必要最低限の確認が取れれば見込みで進めることも時には必要です。クライアントに安心してもらうためにも確度の高い材料は提示しましょう。
また、スケジュール表が完成している場合でも謝罪メールには添付しない方が賢明です。謝罪という本来の目的がスケジュール表の共有に切り替わってしまうため、謝罪の次に用件と段階的に対応することが望ましいです。
<シーン2>
クライアントから前月に納品した勤怠システムに不具合が見つかったと怒り口調のクレームメールが届いたため、謝罪メールを作成
“この度はご迷惑をおかけして大変申し訳ありません。
ご多忙である年度初めにご負担を増やしてしまったこと、お詫びいたします。
現在、弊社側でもシステムにログインして原因の解明に全力で努めています。
一つ言えることは設計自体に問題はなく、システム障害が発生している可能性があります。仮にシステム障害の場合、一部設定を変更することにより復旧が可能ですが、貴社側のご負担も増えてしまうため最終手段と考えています。自力での復旧を目指しますので、今しばらくお持ちいただけるでしょうか。30分後にあらためて進捗状況をご報告いたします。
ご迷惑をおかけして大変申し訳ありません。”
クレームが発生した場合の例文です。今回のようにトラブルの原因が特定できない場合は手順➁の「責任の所在を明記」は省略します。ただし、クライアントに迷惑がかかっていることに変わりはないため、しっかりと謝罪の言葉を載せるようにしましょう。また、クレーム対応はスピード勝負です。クライアントの怒りを増幅させないためには「次の連絡タイミング」を明示し、あなたが問題解決に向けて取り組んでいる姿をアピールすることが効果的です。
<シーン3>
数日前にクライアントへ送付したメールにおいて日程の表記ミスを発見したため、謝罪メールを作成
“いつもお世話になっております。
先日2月1日にこちらから送付した「件名:○○」のメールにおいて日程の表記に誤りがありました。大変失礼いたしました。正しくは以下のとおりです。
(誤) 2月29日(水)
(正) 2月29日(木)
当日は14時に弊社受付窓口へお越しください。どうぞよろしくお願いいたします。”
このように比較的軽微なミスの場合は、手順を入れ替えたり、省略したりしても構いません。謝罪の言葉として「申し訳ありません」を用いても間違いではありませんが、今回の場合は「失礼いたしました」でも充分です。状況によって謝罪の言葉も使い分けていきましょう。
<シーン4>
出張中に担当のクライアントから会社宛にクレーム連絡が入ったが、事態は収束したと代理で対応した後輩からメールが届いたため、謝罪メールを作成
“お疲れさまです。
忙しい中、対応してもらいありがとうございます。助かりました。
また、今日は残業になってしまいごめんなさい。
原因は先方の確認ミスだったのですね。
明日の朝、念のため私の方からもクライアントに連絡を入れます。
今日は忙しくさせてしまい申し訳なかったです。”
社外と社内では謝罪メールで用いる言葉も幾分変わってきますが、作成手順は基本的に同じです。謝罪言葉は「申し訳ありません」ではなく、「ごめんなさい」や「申し訳ない」などに置き換えても問題ありませんが、後輩でも敬語を使うようにしましょう。立場を問わず、相手にリスペクトの気持ちを持って接することで良好な関係を築くことができます。
なお、同じ社内でも自分より立場が上の人に謝罪メールを送る場合は、クライアントと同等の文章を作成する意識が必要です。
謝罪メールと電話連絡の併用方法
ここまで謝罪メールの書き方を例文も交えながらお伝えしました。しかし、実際のビジネスシーンにおいては謝罪メールだけで問題が解決しないこともあります。その場合は電話で相手と話すようにしましょう。最近はチャットでコミュニケーションをとる職場も増えていますが、複雑な仕事や緊急度が高い仕事の場合は電話の方が早く解決することもあります。
ただ、電話は責任の所在を残せない点がデメリットです。私は電話を用いる場合、要点をまとめたメールを先に送信し、その後メールの文面を見ながら相手に電話で説明するという二段階で対応していました。電話で追加用件が発生した場合は最初に送信したメールに追記して再送します。手間はかかりますが、後々のトラブルを防ぐ意味でも記録はしっかり残すことをおすすめします。
まとめ
人間が仕事をしている以上、どうしてもミスやトラブルは発生します。その際に大切なことはスピード感を持って適切な初動がとれるかどうかです。謝罪メールを送る際はお詫びの言葉を載せることはもちろん、再設計したプランも提示して問題解決を図りましょう。解決が難しい場合は電話を併用することも一つです。
最後までご覧いただきありがとうございました。